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執筆者の写真alt-alc,ltd.

ノンアルコールスピリッツの世界的潮流

更新日:2021年2月20日





これまでにもノンアルコールスピリッツについては、いくつか記事を書いてきましたが、2015年からはじまったこの流れもだいぶ流れが見えてくるようになってきました。


今後、どのようなノンアルコールスピリッツが世界的に広がっていく、どのように棲み分けしていくのかについて編集部の所見を書かせていただきます。


ノンアルコールスピリッツの幕開け

まずは、ノンアルコールスピリッツの始まりから見ていきます。


今日のノンアルコールスピリッツの幕開けは、2015年のSeedlipの登場と言っても過言ではないでしょう。最初の売り先は、英国の高級百貨店セルフリッジズでした。


販売開始から1週間と経たず用意していた1000本が完売し、創業3年後には月生産量は3万本を超え、世界25ヵ国に輸出するまでになったとのことです。


現在は、ルイ・ヴィトングループのMHD(モエヘネシー&ディアジオ)に買収されており、さらなる販売力を手にしていることは想像に難くありません。


一般市場と業務市場で趣向に違い

そのようなSeedlipの輝かしい功績を見ていると、一般向けの小売店で大きな成功を収めているように思われるかもしれません。


しかし、各種SNSやメディアを見ていると、今一般消費者を虜にしているのは、オーストラリアのLyre'sというノンアルコールスピリッツブランドであるように思えます。


SeedlipとLyre's、同じノンアルコールスピリッツながら何が違うのでしょうか?


二つのブランドの違いと戦略について、

  • 原材料

  • 商品レンジ

という二つの視点から見ていきたいと思います。


  • 原材料の違い


►Seedlip

・Seedlip GARDEN108 原材料


Water(水) / Natural Botanical Distillates and Extracts(ボタニカル蒸留物・抽出物) / Potassium sorbate(ソルビン酸カリウム) / Citric Acid(クエン酸)


►Lyre's

・Lyre's Dry London Spirits 原材料


Water(水) / Glucose Syrup(グルコースシロップ) / Natural flavoring(自然香料) / Citric Acid(クエン酸) / Potassium Sorbate(ソルビン酸カリウム) / Cellulose Gum(セルロースガム) / flavoring Quinine(キニーネ香料)


 

このように比較してみると、Seedlipと比較するとLyre'sにはより多くの添加物が入っていることがわかる。

特に注目すべき点は、シロップや香料をLyre'sが積極的に使っているという点でしょうか。


そのため、Seedlipのフレーバリングウォーターという性質(香りは強いが、味わいは皆無で、水のようなストラクチャー)と比較すると、Lyre'sは単体でも美味しく飲みやすい仕上がりとなっている(香りもあり、味わい、ストラクチャーも感じる)。


  • 商品レンジの違い


次は商品レンジについて見ていきます。


Seedlipは同ブランド内のノンアルコールスピリッツとしては、はこれまで三種類のアイテムをリリースしております。


GARDEN 108 / SPICE 94 / GROVE 42


全てノンアルコールスピリッツをうたっています。


一方のLyre'sはこれまでに12種類のノンアルコールスピリッツをリリースしています。


DRY LONDON SPIRIT / AMERICAN MALT / ITALIAN ORANGE / APERITIF ROSSO / DARK CANE SPIRITS / COFFEE ORIGINALE /WHITE CANE SPIRIT / AMARETTI / APERITIF DRY / SPICED CANE SPIRIT / ORANGE SEC / ABSINTHE


Seedlip同様にノンアルコールスピリッツをうたってはいるものの、DRY LONDON=ジン、AMERICAN MALT=バーボンなどイメージしやすいようなネーミングとなっていることがわかります。


  • 市場の違い


このように比較して、現状の市場を考慮すると


ノンアルコールスピリッツという新しいジャンルにおいて、

一般市場において大事なのは、


・味わいのわかりやすさ

・使い方のイメージのしやすさ

・使いやすさ(少ないステップで好みの味わいが作れること)


であり、大事に考えられていたが実際はそうでないかもしれないのが


・無添加やノンシュガーなどの健康意識への対応


一方、業務市場において大事なのは


・主張の強すぎない味わい/香り

・様々なカクテル/モクテルに使える汎用性


なのかもしれません。


今後、まだまだ多くのブランドが登場し、新しい切り口の商品も登場してくるはずです。

引き続き、最新情報をお届けしていければと思います。


■国産のノンアルコールスピリッツについては下記からも購入可能です!■


関連記事を読む

『ノンアルコールスピリッツの蒸留』: https://bit.ly/3l5ei1g

『縦にも横にも広がるノンアルコールスピリッツ』: https://bit.ly/2YfCjsq


参考サイト

"World’s First ‘Non-Alcoholic Spirit’ Bought By Alcohol Giant, Diageo; A ‘Game-Changing’ Innovation?" Forbes

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