お酒の世界でもサステイナビリティという言葉は着実に浸透し、ジョニーウォーカーの紙パックやルイナールの100%リサイクル可能なパッケージ“セカンドスキン”など、いくつかのブランドは実際に動き始めてる。
一方で、ビーントゥバーやフェアトレードが代表する「エシカル消費」というワードを飲料業界で聞くことはあまりない。
飲料業界で言うエシカル消費、エシカルドリンキングとは何を指すのだろうか?
エシカル消費とは
そもそもエシカル消費とは何を意味するのだろうか?
消費者庁のサイトを見てみると、倫理的消費(エシカル消費)は下記のように定義されている。
「消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと。」
また、各個人の消費が持続可能な社会の形成に繋がるという旨の記載もあり、よりサステイナブルな社会を創り出す方法の一つとしてエシカル消費があるという位置づけであることも確認できる。
オーガニックはエシカルか?
飲料の世界では、エシカルという言葉よりも、はるかにオーガニックや有機農法、ビオディナミなどの栽培上の方法論を説いたものを耳にすることが多い。
オーガニック農法で栽培された商品を購入することはエシカル消費に繋がるのだろうか?先の消費者庁の定義からすれば、答えはイエスだろう。
しかし、オーガニックなどの方法論はエシカル消費の一部でしかないことを忘れてはならない。
カナダ、バンクーバーに拠点を構えるワインライターMICHAELA MORRIS女史は、
「オーガニック栽培は、環境面における万能薬にはなりえない。有機的な栽培方法は、水資源管理や廃棄物管理には関与しておらず...(中略)特定の地域を想定した場合、オーガニックが常に最善の選択肢とは限らない。」
と述べている。
またオーガニック栽培では、栽培量が減少することが多いが、人口増加・食糧難ということが言われている現代において、そのような社会的視点からすると最善の選択とは言えないかもしれない。
エシカルドリンキングの取組み
では、実際にどのような商品がエシカル商材として打ち出されているのだろうか?
フェアトレード原料を用いた商材
通常廃棄される原料を用いた商材
利潤を寄付に回している商材
製造・消費の中で出た廃棄物を再利用している商材
原材料供給に携わった人々へのインフラ整備、教育などの提供
特定原料を除いて製造した商材
いくつか調べてみると、上記のような特性を持っている商材が飲料業界におけるエシカル商材として紹介されていた。
あくまで調べている中での印象ではあるが、寄付・チャリティー系が最も多く、その先も環境問題・身体精神的病の治療・教育問題と多岐にわたっていた。
通常廃棄される原料の利用も、小売店では販売できない形のくずれた果実をつかったジュースから、売れ残ったパンを原料に発酵させて作ったビールなど、多くの発想と工夫が見られた。
多くの企業努力の中で、個々の商品に品質で違いを見出すのが難しくなっている今日、商品の向こう側に広がる感性的なストーリーに目を向けて、今日飲むものを探してみるのも悪くないかもしれない。
参考サイト
"Is ethical wine even possible?" quench
『「ルイナール」がサステナブルな新パッケージを日本でも採用 来春から』WWD
『エシカル消費とは』消費者庁
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