今回は、ロックダウン下でアルコール販売が禁じられた南アフリカがどのような状況になっているのか紹介する。
『【ウィズコロナ時代】アルコールはエッセンシャル?』で南アフリカは以下のことを理由にアルコールの販売を禁じた。
家庭内暴力の発生を防ぐ
ソーシャルディスタンスの維持が難しくなる
個々人の衛生管理能力が低下する
免疫機能が低下する
アルコール販売禁止の影響
まず、健康面では著しい成果をあげているとのことである。
南アフリカでは、通常アルコール関連で32,000件/週の緊急外来があったが、ロックダウンに入り12,000件/週まで低下しているとのことである。
一方でソーシャルメディアを通じて家庭でのお酒の造り方などの情報が出回っており、アルコール販売禁止が長引けば、そういったところでの健康被害も懸念されている。
さらに、現在の南アフリカの状況を禁酒法時代のアメリカになぞらえて、現代のアルカポネが出てくるのではないかなど新たな犯罪網の構築の怖れもささやかれ始めている。
しかし現状に関して言えば、これまで南アフリカではお酒に関する諸問題が多かったため、一時的とはいえ健康面をはじめ好ましい影響を及ぼしている。
ノンアルコール販売への影響
アルコール販売禁止を追い風として好況を呈しているのが、ノンアルコール市場である。
特にノンアルコールカクテル/スピリッツ/ビールに人気が集まっているようだ。
販売メーカーによっては、短期での売上が前年比150%~350%の増加を記録しているとのことである。
伸びている販売チャネルは、もちろんBtoC向けのオンラインストアで、売上構成比ベースで5倍になるメーカーもいるという。
もう一つの特徴は、今伸びているブランドは、大手メーカーではなく、独立系メーカーであることである。
ロックダウンの影響で、通常アルコールを製造しているブルワリーは閉鎖を余儀なくされているため、ハイネケン等ではノンアルコールビールの製造も止められている。
このため、今まで大手の影に隠れていた独立系中小メーカーに脚光が当たっている。
一般消費者もこれを機に新たなブランドに触れ、メーカー側もこれを機に生産システムの拡充などが進められそうである。
南アフリカのロックダウンはノンアルコー産業にとっては一皮むける良い機会となるかもしれない。
参考サイト
"Non-alcoholic gin and beer is flying off the shelves under SA’s booze lockdown" BUSINESS INSIDER SOUTH AFRICA
"South Africa coronavirus lockdown: Is the alcohol ban working?" BBC NEWS
"Huge spike in sales of non-alcoholic 'booze' during lockdown" CAPE TALK
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