脱アルコールして造られるノンアルコールワインにはさまざまな難しさが存在するが、特にノンアルコールの赤ワインはなかなか難しい。
今回はなぜノンアルコール赤ワインの品質は難しいのかについて見ていく。
アルコールの役割
ワインにおいて、アルコールが重要な役割を果たしていることに疑問の余地はない。
香気成分の検出方法の一つである、ガスクロマトグラフィーやマススペクトルメトリーを使って、数種類の赤ワインの揮発成分を検出した実験がある。
その実験では29種類の揮発成分が検出されているが、そのうちアルコールは10種類である。
さらにワインに含まれる香気の多くは、アルコールの揮発とともに私たちの鼻腔に到達しており、アルコールがなくなることで、そのような香り伝達の術を失う香気成分は多分に存在する。
さきの実験で29種類中11種類検出されたエステルなども、そうした香気成分を多く含む。また、多くのエステルは疎水性といって水と結びつきづらい性質を持っているため、香りの抽出も難しいとされている。
製造上の問題点
以前『ノンアルコールワインの製造方法』でも紹介したように、ノンアルコールワインにはいくつかの作り方が存在するが、製造上の問題点についてもれておきたい。
逆浸透膜法
逆浸透膜法における、問題点はタンニンを除去してしまうことにある。
これは特に赤ワイン固有の問題点といえるかもしれない。
ワイン特有の味わいのテクスチャを作りあげるのに重要な役割を果たすタンニンを失うことで、ノンアルコール赤ワインはどこか味気ないものとなってしまう。
熱と香気成分の関係
脱アルコールの過程でしばしば使われる熱も香りの大敵である。
香気成分は、それぞれ極めて微量しかワインに含まれていない場合が多く(微量ながら香りや味わいに大きな影響を及ぼす)、熱により少しでも影響が加われば、もう取り返しのつかない場合がほとんどである。
華やかで繊細な香りほど熱には弱いものである。
ワインオルタナティブの可能性
では、ノンアルコール赤ワインについてどのような可能性を見出すのが正解なのか?
現状で最も現実的な案としては、オルタナティブワインの方向性でないかと思う。
ワインにこだわりすぎず、果汁・ビネガー・茶などの液体にハーブやスパイスなどのボタニカルを漬け込み抽出することでワイン様の香りと味わいを模索していく方法が最もワインの満足度に近いものをお客様に提供できる案ではないかと思う。
弊社では、ロンドン生まれのワインビネガーをベースとしたワインオルタナティブやオーストラリア、メルボルンで造られる全く新しいワインオルタナティブなどを扱っているので、ご興味ある方は是非カタログ請求をしてご一考いただけたらと思う。
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参考サイト
"The Surprising Potential of Non-Alcoholic Wine" WINE FOLLY
"Volatile Composition of Some Red Wines from Romania Assessed by GC-MS" Studia Universitatis Babes-Bolyai Chemia
『清酒の高級アルコール・エステル』 吉沢 淑
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