日経新聞、毎日新聞、朝日新聞と大手新聞社もノンアルコールについての記事を書き、あくまで肌感ではあるが、2019年末から2020年にかけてノンアルコールに関する記事が増加しているように思う。
今回は、このような2020年にノンアルコールがくる五つの理由を挙げていく。
高品質商品の登場
昨年のノンアルコール市場における、最も象徴的な出来事は、やはりディアジオ社によるSEEDLIPの株式過半数獲得だろう。
ビールからスピリッツまで錚々たるブランドを擁し、ルイヴィトングループの一翼を担うディアジオ社が、ノンアルコールスピリッツSEEDLIPの株式取得に動いたことは、ノンアルコールの世界にもラグジュアリーブランドが誕生したことを意味する。
実際SEEDLIPの登場を皮切りに、欧州では既存のノンアルコールとは一線を画す様々なブランドが、様々なジャンルから出てきている。
商品レンジの充実
ノンアルコールが活況を呈しているのは、なにもハイレンジだけではない。
世界第三位のビール生産量を誇り、バドワイザーなどをポートフォリオに抱える、アンハイザーブッシュは2026年までにノンアルコールとローアルコールの自社売上を全体の20%まで引き上げると宣言している。
また、ノンアルコールスピリッツやノンアルコールビール以外にも、既存のジャンルに新しいアプローチで切り込むメーカーも出てきている。
弊社で今春から取り扱うsharabは、脱アルコールのような引き算の方法ではなく、フレーバーや味わいを重ねてワインに近づけていくという足し算のアプローチを採用している。お茶の世界では、茶葉から淹れるのではない、ボトリングティーが数年前から注目されてきている。
また、日本にこれまでなかったジャンルもこれから目立っていきそうだ。
先述のノンアルコールスピリッツはもちろんのこと、ジントニックやモスコミュールなどをもしたノンアルコールカクテル、ノンアルコールのアペリティフなどのジャンルも確立されつつある。
専門家/業態の登場
嗜好品の世界には、常に水先案内人が必要だ。
そういう意味では、高い専門性を持った企業や人材の存在も欠かせない。
海外のノンアルコールトレンドの火付け役となった書籍"Sober Curious"は、Sober Curious Japanという団体となり、日本にも入ってきている。
さらに、ノンアルコールアナリスト通称「ゲコノミスト」もFacebookを中心に大きな影響力を持ちつつある。
そして、なによりノンアルコールバーの存在である。
Low/Non Barが今春東京でOPEN予定であり、ノンアルコール愛飲家の聖地となるかもしれない。
心身両面の健康の追求
では、このようなノンアルコールイヤーの社会的な背景として何が考えるだろうか?
一つは、心身両面からの健康志向である。
アルコールの飲み過ぎで身体を壊すといった身体的側面以外にも、「酔い」のようにアルコールに支配されている(思考力の鈍化、体調不良など)ことを防ぐ、心身両面のケアがより一層気にされるようになってきた。
お酒を飲む飲まないはさておき、アルコールにとらわれない生き方を希求する人が増えていることは間違いないように思う。
多様性尊重の時代へ
最後に見ておくべきは、多様性尊重、個人の個性を認める時代に我々が生きているということである。
ゲコノミストの藤野氏も語るように、もはやノンアルコール、お酒を飲めない/飲まない人の対応は、LGBTなどと通じるものがあり、個々人の個性として尊重されるべき時代に来ているのである。
ヴィーガンやハラルなどと同じく、飲まない人への対応がビジネスの上でも重要な時代が到来しているということを、私たちは改めて認識する必要があるのかもしれない。
参照サイト
"2020 Will Be the Year of Non-Alcoholic Beer" Entrepreneur Asia Pacific
"2020 Could Be the Year the Mocktail Goes Mainstream" FORTUNE
"Trend Report 2020: The Rise of Non-Alcoholic Booze" DIELINE
『“ゲコノミクス”が経済を活性化する! ひふみ投信・藤野氏が断言』日経XTREND
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